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クラス ×イト
第6章 なりゆキ 【澤田裕樹】
俺は別に長い話をしたいわけじゃなかった。だからそれを切り出せば、一瞬で終わる。
そう――たぶん、全てが終わる。
「……」
だから俺はその言葉が出せずに、俺と佳奈の間に気まずい空気が流れ始めた。
「澤田……?」
そう言って俺の顔を覗いた佳奈は、あの時みたいに笑顔ではないけど……。
それでも俺をほんのちょっとでも気にかけたその顔は、俺の胸の内側をきゅっと締め付けていた。
「佳奈――好きだ」
溜めた割には、前触れもなく口をついた言葉。
それを実際に発した時、俺は言葉って意外に不便なものだと思えていた。
護が何度も言っているだろう「好き」と、今の俺の「好き」――言葉に出してしまえば、それは同じ、だったから。
この先、なんて言えばいい? 俺の気持ちを何て言えば、全て残さずに伝えられる?
いや、もう考えるだけ無駄だ。
俺の頭の中に『は? 何、言ってんの』と、高確率で佳奈がいいそうなセリフが浮かぶ。
しかし、それは少し違った。
「私――護と付き合ってるから」
佳奈は俯いて、ポツリとそう答える。
そう――たぶん、全てが終わる。
「……」
だから俺はその言葉が出せずに、俺と佳奈の間に気まずい空気が流れ始めた。
「澤田……?」
そう言って俺の顔を覗いた佳奈は、あの時みたいに笑顔ではないけど……。
それでも俺をほんのちょっとでも気にかけたその顔は、俺の胸の内側をきゅっと締め付けていた。
「佳奈――好きだ」
溜めた割には、前触れもなく口をついた言葉。
それを実際に発した時、俺は言葉って意外に不便なものだと思えていた。
護が何度も言っているだろう「好き」と、今の俺の「好き」――言葉に出してしまえば、それは同じ、だったから。
この先、なんて言えばいい? 俺の気持ちを何て言えば、全て残さずに伝えられる?
いや、もう考えるだけ無駄だ。
俺の頭の中に『は? 何、言ってんの』と、高確率で佳奈がいいそうなセリフが浮かぶ。
しかし、それは少し違った。
「私――護と付き合ってるから」
佳奈は俯いて、ポツリとそう答える。