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クラス ×イト
第7章 アらガう 【堂林亮伍】
バスケ部の全体練習の後、俺は一人で仕上げのランニング。グラウンドの外周をぶっ倒れそうになるまで走り続け、実際にぶっ倒れていた時のことだった。
「佳奈!」
その叫びを耳にして、俺は声がした方を何気に見ている。
そこにいたのは、俺と同じクラスの――澤田裕樹と山村佳奈だった。
「俺の好きは――俺の中にしかないから――それを、佳奈に――知ってほしかったんだ!」
「ゴメン……私、やっぱり……わかんないからっ!」
「……?」
何、青春ドラマ?
俺はその二人の掛け合いを見て、あんぐりと口を開く。それに引き替え――
「わあっ、すごいシーンを見ちゃったね」
そう感嘆の声を漏らしている――この女。
「海藤……」
「ハイ、タオル」
にこやかに笑いながら俺にタオルを差し出したのは、バスケ部のマネージャーの海藤美和(かいとう みわ)だ。ちなみに、コイツも同じクラス。
「あの連中――わざわざ休みに学校来て、なにやってんだ? 全く、意味不明……」
こっちは必死だってのに……。俺はつい文句じみたことを言ったのだが。
「いいじゃない。あれも青春の形でしょ」
海藤はうっとりとした顔で、そんな風に言いやがる。
「ふーん……。ま、どの道、俺には関係なしっと!」
俺は海藤の手からタオルを奪うように取ると、それでガシガシと顔を拭った。
俺、堂林亮伍(どうばやし りょうご)は目下――『バスケ一筋』である。俺がこれから話すことに何かを期待するつもりなら、それは無駄だと先に断言しておきたい。
俺の学校生活は部活中心に回っていて、それだからクラスの他の連中とは関わりもあまりなかった。それでも話せと言うなら、ひたすら厳しい練習の風景を綴ることになるが。そんなの誰も望まないだろうから、長々と語る予定もネタもない。
少なくとも今の二人のように、好きだの嫌いだのとそんな話とは全く別物になるんだろう。
「佳奈!」
その叫びを耳にして、俺は声がした方を何気に見ている。
そこにいたのは、俺と同じクラスの――澤田裕樹と山村佳奈だった。
「俺の好きは――俺の中にしかないから――それを、佳奈に――知ってほしかったんだ!」
「ゴメン……私、やっぱり……わかんないからっ!」
「……?」
何、青春ドラマ?
俺はその二人の掛け合いを見て、あんぐりと口を開く。それに引き替え――
「わあっ、すごいシーンを見ちゃったね」
そう感嘆の声を漏らしている――この女。
「海藤……」
「ハイ、タオル」
にこやかに笑いながら俺にタオルを差し出したのは、バスケ部のマネージャーの海藤美和(かいとう みわ)だ。ちなみに、コイツも同じクラス。
「あの連中――わざわざ休みに学校来て、なにやってんだ? 全く、意味不明……」
こっちは必死だってのに……。俺はつい文句じみたことを言ったのだが。
「いいじゃない。あれも青春の形でしょ」
海藤はうっとりとした顔で、そんな風に言いやがる。
「ふーん……。ま、どの道、俺には関係なしっと!」
俺は海藤の手からタオルを奪うように取ると、それでガシガシと顔を拭った。
俺、堂林亮伍(どうばやし りょうご)は目下――『バスケ一筋』である。俺がこれから話すことに何かを期待するつもりなら、それは無駄だと先に断言しておきたい。
俺の学校生活は部活中心に回っていて、それだからクラスの他の連中とは関わりもあまりなかった。それでも話せと言うなら、ひたすら厳しい練習の風景を綴ることになるが。そんなの誰も望まないだろうから、長々と語る予定もネタもない。
少なくとも今の二人のように、好きだの嫌いだのとそんな話とは全く別物になるんだろう。