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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
 私――藍山栞がこの場で話すのは、これで二度目。けれども私の話は、乾くんと一緒に去河くんを訊ねた場面――からではなかった。

 前に話した時点から、およそ一週間。調度、去河くんが休学した頃――そこから始まる。


 特に意味はないのだけども、敢えて言うのなら――それは、些細な変化の兆候。私自身がそれを、察し初めていたのだろう。

 最初に私にそれを意識させたのは――クラス委員長の西慶介だった。


 何時ものように自分の席で本を読んでいた私に、西くんが話しかけてきたこと自体は特に珍しいことではなかった。

 だけど、その時は、その内容と彼の態度が少し違っていた。


「藍山――今日の放課後、一緒に勉強をしよう」

「……」

 西くんが私に向ける好意には、何となく気づいていると以前も話した通り。愛想の無い私を、よくもと思うほどに話しかけ続けてくれる。

 それでも――具体的に何かに誘うようなことは、この時が初めてだった。
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