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クラス ×イト
第10章 せッきン 【藍山栞2】
私は少しだけ考えた後に、こう答える。
「まだテストも先だし、私は本を読みたいから……」
何時もの西くんならば、こう言えば苦笑して去っていただろう。
でも――
「じゃあ、お前は本を読んでろ。俺はその隣で、勉強をする。一緒に、図書室でな」
「今日は……本屋に行こうかと」
「じゃあ、俺も行く」
「それは……」
困窮する私がそのまま黙ってしまったのを見て、西くんはふっと笑った。
「流石にしつこかったか? まあ、今日は止めておこう。だけど、藍山だって本ばかり読んでる訳にもいかないだろ。もし苦手な科目があるなら、遠慮なく言ってくれ。大概のことなら、教えてやれると思うぞ」
とりあえず私はコクリと頷き。西くんは、自分の席に戻って行った。
その時――クスッ、とした笑いを、私は背中に感じる。私の右斜め後ろの席。
俄かに振り向いた私は、頬杖をついて微笑する――瀬山宗助を見た。
「……」
すぐに声はかけない。けれど、私と視線を合わせると、瀬山くんが呟く。
「西の奴――どうやら、本腰入れたらしい」
それを聞いた私は、数日前の図書室での、瀬山くんとの会話を思い浮べていた。
「貴方が、なにか――?」
「さあ?」
瀬山くんの笑みの、その真意は不明。だけど私は、それが彼の表層を装飾するものなのだと、何気にそんなことを感じていた。
「まだテストも先だし、私は本を読みたいから……」
何時もの西くんならば、こう言えば苦笑して去っていただろう。
でも――
「じゃあ、お前は本を読んでろ。俺はその隣で、勉強をする。一緒に、図書室でな」
「今日は……本屋に行こうかと」
「じゃあ、俺も行く」
「それは……」
困窮する私がそのまま黙ってしまったのを見て、西くんはふっと笑った。
「流石にしつこかったか? まあ、今日は止めておこう。だけど、藍山だって本ばかり読んでる訳にもいかないだろ。もし苦手な科目があるなら、遠慮なく言ってくれ。大概のことなら、教えてやれると思うぞ」
とりあえず私はコクリと頷き。西くんは、自分の席に戻って行った。
その時――クスッ、とした笑いを、私は背中に感じる。私の右斜め後ろの席。
俄かに振り向いた私は、頬杖をついて微笑する――瀬山宗助を見た。
「……」
すぐに声はかけない。けれど、私と視線を合わせると、瀬山くんが呟く。
「西の奴――どうやら、本腰入れたらしい」
それを聞いた私は、数日前の図書室での、瀬山くんとの会話を思い浮べていた。
「貴方が、なにか――?」
「さあ?」
瀬山くんの笑みの、その真意は不明。だけど私は、それが彼の表層を装飾するものなのだと、何気にそんなことを感じていた。