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クラス ×イト
第12章 ラんマん 【市原 茜】
――あ、いたいた!
ウフフフ――。
図書室で乾くんを見つけて、私はニンマリとしてる。
そうして、そーっと本棚の方から回って、彼の後ろに回り込んだりして……。
フフ――まだ気がついてないなぁ。そう思って、繊細そうなその横顔を見てたら。最初はちょっと脅かすだけの、つもりだったのに――。
「乾くーん、みーっけ!」
私はつい、彼の小柄な背中を、ギュウって抱きしめちゃったんだ。
「わっ!」
――だって! 何かそんな驚き方も、イチイチ可愛いんだし……。
そしたら、乾くんは――
「市原さん――ここは、図書室なんだよ」
なーんて、ちょっと偉そうにしてるの。そのクセに私の顔も見ずに、顔を真っ赤にしちゃってさ。
うん……やっぱり、これだ!
「アハハ、ごめんねー」
とか笑いながら、私はそう思ってたんだ。
私の名前? 市原茜だよ。
ちょっとバカっぽいのは、一応自覚してるの。そんな私だから、色んなこと上手く話せるか、ちょっと心配――だよね?
ともかく私は、昨日突然。乾英太――という男の子を、見つけてしまったのだ。