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クラス ×イト
第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】
 僕の話なんて楽しくないから、誰も求めてなんかないと思う。きっとつまらなくて、酷く退屈だろうな……。

 中学時代までの僕は、友達の一人だっていなかった。何故かいつも阻害され孤立しては、いじめられることを恐れながら息を潜めるようにひっそりと暮らしてきていた。

 背丈だけひょろりと高いけど、後は何もかも平均以下――それも、かなり下の方。そんなことを自覚され続けて、僕は教室という集団の中で日々確実に自信を失ってしまい、自分を卑下することだけを覚えた。

 そんな僕だから、だろう。高校生になった現在には、実はとても満足してる。

 乾英太と去河要二――彼らが僕を、仲間にしてくれた。その二人は現状に満足してないようだけど、僕からしてみれば『D3』は最高の居場所。中学時代までを考えれば、そんなこと当然だったんだよ。

 ダメンズ・スリー。それで、いいじゃないか。その居場所さえあえば、他に何かを望もうなんて、そんなつもりさえ起きなかった。

 そんな、僕だから……。


「いや……僕はいない。そういうの、考えたこともないから……」


 それは、いつかの昼休み。ふと振られた好きな女の子の話題に対して、僕がそう答えたのは本心からだった。

 話を聞いていたら、どうやら英太くんは藍山さんが気になるみたいで、要二くんは佐倉先生に憧れているようだけど……。

 僕はそんなこと、一度だって意識したことはない。意識して何かを望んだって、それが無駄だということを知っていた。


 それが、僕という人間。彼女を強く意識する以前の――喜嶋三生の姿。
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