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クラス ×イト
第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】

「こんばんは――赤緒さん」

 僕は至って自然に、そう声をかけることができた。些細なことだけど、それだけでも僕が変わり始めている証明。

「――!」

 携帯を眺めていた彼女は、キュッと鋭い視線を僕に差し向けていた。

「ここに、座ってもいいかな?」

「……」

 訝しげにしながら、彼女に言葉はない。でも僕は迷うことなく、彼女の向かいの席に腰を下ろした。

「急に、ごめんね。今日は、僕の話を、聞いてほしいと思って……」

 僕がそう言うと、彼女は静かな動作で、手にしていた携帯をテーブルの上に置く。それから組んでいた脚を戻すと、僅かながら僕に正対するように身体を向きを変えた。

 彼女が話を聞く姿勢を見せていると感じた僕は、もう溢れ出しそうな想いが口から零れるのを止めることができなかった。


「君が好きなんだ!」

「一体、なんなの?」


 ほぼ同時に発せられた言葉は、互いを打ち消し合う。

「え……?」

 勢いを削がれ、キョトンと彼女を見やる、僕。

 その僕の顔を睨みつけて、赤緒さんの魅力的な唇が動き出す。


「貴方の目的は――なに?」

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