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第14章 カイごう 【乾英太４】

　『２―Ｃ』のクラスメイトのみによる、会合。まさにホームルームという言葉が示す――この僕らの教室に於いて、それが開始されようとしていた。

　だけど、それを快く思わなかった人も確実にいるらしく。


「なにを妙に熱くなってんだか、知んねーけど。勝手なことしない方が、いいと思うぜ」

　僕の後方から聴こえたその声の主は――岸野護だった。

　窘めるように冷静さを装い、発言していた岸野くんだったけど……。

「おや？　護くん。どうしたんだい、急に」

　からかうような佐川くんの口調に、岸野くんもその語気を荒げる。

「は？　どうもしねーよ。佐川――お前、あんまり調子に乗ってんじゃねえぞ」

「別に――俺は言わば善意の傍観者として、このクラスの問題を提起しようとしてるだけだし。それなのに、護くん。その反応から察すると、俺の示した『議題』に――心当たりでも、あるわけ？」

「な、なにも……そんなこと、言ってねーだろ！」

「ホント？　怪しいなあ」

　嫌らしい笑みを浮かべつつ、佐川くんがそう言う。それに伴い皆の視線が、期せずして岸野くんへと集まっていた。

　たぶん、そこに助け船を出そうとした、のだと思うけど……。


「そんなことないよー。確かにちょっとチャラいとこもあるけど、護だってそれなりに真面目なところだってあるし。別に怪しくなんか……アレ？　私、なに言おうとしてるんだろ。あはは……」

　そう話す途中で、自分に注目が集まるのを察し、言葉を見失ったみたいだ。市原茜は照れ笑いを浮かべると、何とか誤魔化そうとしてる。

　でも明らかに、その態度は不自然だと――皆の目には、そう映ってしまった。