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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「自習の時間くらい、静かに昼寝させろって」
続けてそんな不平を漏らしたのは、それまで机に突っ伏していた――バスケ部の堂林亮伍。
彼の常識では、自習イコール昼寝の時間、ということらしい。そんな堂林くんにしてみれば、今のクラスに持ち上がっている話題には、どうやら一切の興味がないようだった。
それを受けて、佐川くんは面倒そうに表情を歪める。
「お呼びじゃねーよ、堂林。単細胞の部活バカが」
「なんだとっ!」
と、自分の席を立ち上がった、堂林くんが佐川くんを睨む。
すると、佐川くんは更に小馬鹿にしたような口振り。
「お前なんて、バスケだけしとけばいいんだろ? ある意味で羨ましいよな。悩みなんて、なさそうだし」
「随分と、勝手なこと言ってくれるが……。お前なんかに、俺の何がわかるんだよ」
一転、低い声でそう話しながら、堂林くんは自ら怒りを抑えるようだった。
「じゃあ、何かあるわけ? 聞いてやるから、試しに言ってみたら」
「くそっ……」
そう吐き捨てるようにして――堂林くんはその顔を、佐川くんから背ける。
「別にこんな奴に、担がれた訳じゃねーけど。この際そんなことは、どうでもいいか……」
すると、そう話す堂林くんの視線が、新たに別の人物を捉えていた。そして――
「瀬山! 何故、俺に断りもなく――バスケ部、辞めてんだよ?」