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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】

「随分、拘っているようだが……佐川、何をそこに固執する理由があるんだ?」

 思わず苦笑し西くんが、そんな疑問を口にするのも無理はなかった。

 だけど、それは西くんは知らないから……。そして、僅かながら知っている僕は、佐川くんの態度に急速に不安を感じ始めている。

 月曜日のその場面のことだけを盾とするのは、彼が西くんに食い下がる理由としては脆弱だった。そう思えてしまえるだけに、尚のこと……。

 そして、その先の展開は――その意味に於いて、僕の覚えていた不安が正しかったことを――証明する形となってしまった。


「じゃあ、言っちゃうぜ。西――惚けたお前のせいだからな」

「なに……?」

 その時、俄かに表情を強張らせた西くんを見据え、佐川くんはついにその部分への言及を果たす。


「何故、今日――その喜嶋は、来てないんだよ?」


「――!」

 ま、まさか……。佐川くんが、それを知っている訳が……?

 僕は呆然として何もできずに……次の言葉を放たれるのを待ってしまった。

 そして――


「喜嶋の奴なあ。どうやら――リストカット、したみたいだぜ」


 ――!?


 佐川くんの言葉が、教室の中に音のない衝撃を刻んでゆく――。
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