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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「私の家、喜嶋くんの近所なのね。だからさ――昨日の夜中、救急車のサイレンがとてもうるさく鳴り響いてて……私まだ寝る前だったから、気になって二階の自分の部屋の窓から外を見たの。そしたらさ――」
佐川くんに促されて、興奮気味にそれを説明していたのは、松代さんだった。
「――ストレッチャーに乗せられて搬送されたのは、喜嶋くんだったの。その左腕には、タオルのような布が巻かれていたんだけど……それが、真っ赤に染まって……もちろんそれは、血……だったんだよね。そう思ったら私、凄くビックリして――」
松代さんの話は、皆に衝撃を与えていた――ようだけども。
「……」
それを聞いて口々に何かを話し始めていた、多くのクラスメイトたちの姿は――僕からすれば、とても三生を心配してるようには見えなくて……それは誤解、なのかもしれないけれど……それでも。
とても自分勝手で興味本位だと、僕は思ってしまうんだ。
そんな彼らと明らかに違っていたのは、彼女――。
「礼華……?」
山村さんがその様子を気にかけた、赤緒礼華だった。
「あ……あ、あ…………」
突如、席を立った赤緒さんは――呆然と立ち尽くすと――
「わ、たし……私、が…………?」
そんな言葉を発しながら、その瞳から止めどなく涙を流している。