パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第15章 じゅバく 【赤緒礼華】

　赤緒礼華――。

　その名前と言う看板を、私は偽りで彩っていたのかもしれない。

　少なくとも私の生き方は、三年前の――あの日。



『赤緒さん――アンタ、ついてたな』



　父親を訪ねて来いた――とても怖い、大人の男だった。

　その人がそう言って、私を眺めてニヤリと笑んでいる。

　あの瞬間には――既に、決められてしまったのだった。


　過去を思い返すのは、私にとって――とても疲れること、だから。

　それを語るのは、もう少し気持ちの整理が必要に思う。でも、然るべき時が来たのなら、それは必ず語らなければならなかった。


　今日は昨日とは、違う一日だった。

　珍しく、私はそう思っている。でも、善くも悪くも――と、そう言える心のゆとりは――まだ、なかった。


　ともかく、何時もと違う教室を去り、私は校庭に立つ――二人の姿を眺めている。


「……」


　少し離れた処から、身を潜めてひっそり――と。