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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「コレ……お前のこと、だったのか?」
西慶介――はそう話しながら、クシャクシャになっている、その紙切れを示した。
「ああ……どうやら、自分の知らない場所で、俺は……喜嶋やお前にまで、世話をかけていたらしい」
瀬山宗助はそう言うと、ふっと寂しげに笑っている。
「……」
私はその二人の会話に、静かに耳を傾けていた。
あの時、私が丸めた――今、西が手にする、あの紙切れ。そこには、こんな一文が記されていた。
『すぐ近くに、貴方を想っている人がいます』
それを書いたのは――喜嶋三生。
すぐにそれに感づいていた私は、激しく彼を責めた。
宗助が前に進むことを望みながら、結局は私、怖かったのかもしれない……。
それは、この時を迎えることではなくて――。
宗助との関わりが、微妙で脆いその繋がりが、無くなってしまいそうで……。
私はホントはそれが怖くて、そんな自分が嫌だった。
でもやはり――宗助の為を想えば、それは避けてはいけないこと……。
だから私は今、この時だけでも。宗助を見守っていたい――そう強く願うのだ。