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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「……?」

 追って来ない……? 私を連れ戻さない……? ならば……!

 そう思いまた前を向き、走るとする私。

 だけど――


「――――――――!?」


 その前に広がって見えたのは、夜よるより暗い――真っ黒で寂しげな、闇。

 その中に逃げ込めば、私は自由になれる。でも、その先に待っているのは、恐らくは――孤独。


「あ……ああっ……」


 私は走り去ることができずに、幾度も後ろを振り返ると――『自由』と『呪縛』とを見比べていた。

 その結果――私は。



「どうして――戻ったんだい?」

 白岩さんの目の前で、項垂れ黙って立ち尽くしている。

「……」

 その時の私の真意は、どうだったのだろう。

 残される父を心配しての、こと――なのか。自由という孤独に、二の足を踏んでしまった――のか。白岩さんの行為に絆されていた――のか。それとも……。

 わからずに、佇みながら。でも、不思議と逃げ出す前より――怖いとは思わなかった。

 それどころか、私……ホッとしている?

 その奇妙な感覚に苛まれる私に、白岩さんが訊ねる。


「自分で選んだ道だよ。いいんだね」


 その低く穏やかな声に、私はコクリと頷いていた。


「……はい」


 それは、見かけ上であったのかもしれない。

 それでも私は自ら――『商品』である運命を、選んでしまったのだ。
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