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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
私、何てことを……? 思わずハッとして――宗助は? ――と、彼の反応を気にする。
「……!」
宗助は当然であるように、驚きをその顔に表していた。
だから、ものの弾みとはいえ――そんなことを言ってしまった自分を、慌てるようにして嫌悪することになる。
だけど――私が取り繕う前。それより、先に――
「ごめん……僕に、それは、できない」
宗助が口にしたのは――再びとなる謝罪の言葉だった。その時、そっと浮かべた微笑は、不思議と腹立たしくはなかった――けれども。
「あ、謝らないで……。そんな、わかりきったこと……真面に答えられてしまったら、私がとても惨め……」
「そうじゃない。俺には、好きな人がいるから」
「だからっ! わざわざ、そんな風に弁解する必要なんか、ないの!」
どうしようもないまでに、感情を逆立てる私を――
「違う。だから、俺の話を――聞いて」
宗助は、優しい口調で――私を、そう宥めて、から。
「……」
息を――ふっ――と、ひとつ吐き出す。そして――
「俺の好きな人って……それは、ね――――」
それから、初めて自らの事情を、私に聞かせた。
「――――!?」
とりあえずは、その話を聞いた、私。一応のその意味は、理解してる。
でも、まだ私は――彼の抱えた想いを、真に咀嚼しきれてはいなかったのだと、思う。後に彼との時を重ねるほどに、私は思うのだ。
話してくれたことが、何にも増して――それこそが、宗助の示した『誠意』なのだ、と。
まだそれが、わからない私に――
「君は恋を失くした、と言って。俺は恋が叶わないことを、知ってる」
宗助は、言って。その後、私に――その提案を、示すのだ。
「そんな二人、だけど――隣に居るくらいなら、できる。もし――君が、それを望むのなら」
「――!」
その時の宗助の言葉が、二人を見えない鎖で結び付ける。
それが、私に――私たちにとって、新たな呪縛となったのかも、しれない。