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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
その後、交わした会話の中で、果たして私の意図は伝わっていた、のだろうか……。
「僕の……小説、の……続き?」
「そう……二人が日曜日に、会う約束をしていて。私、そこまでは――読んでいる」
「だ、だけど……」
乾くんは顔を伏せ――
「藍山さんが、読んでいると知った、その後に……。僕、今ままでと同じようには、書けない気が……してる」
戸惑ったように、そう呟く。
その反応は、素直で率直なもの。そう認めた上で、私は無理を押し通すように、言った。
「今までと違っても、構わない。乾くんが、望むままに書いてほしい。そしたら――私」
「そし……たら?」
「あれは、私たち二人の物語だと……そう言ってくれた、から。その中に同化することで、私は乾くんに応えたい……と、そう思ってる」
「それ……は、どういう意味?」
乾くんを見据えて発した、自分のその言葉に――私自身が、一番驚いていたのかもしれない。
「小説と同じく、日曜日。私は……貴方が書いた通りの、私に……なりたいと思う」
「えっ……!?」
「その一日の……私の行動も想いも、その全てを――乾くんに決めてほしい、と。そう言っているの」
私の顔をまじまじと見つめて、乾くんの感情が高まってゆく。
「そ、そんな、無茶なっ! 急に言われたって……一体、何をどう書けば!?」
その一方で私は心を鎮め、淡々してる私。
「迷わずに、隠さずに――乾くんが私に望むことの、ありのままを……書いて。例えそれがどんな内容であれ、私はそれに倣うの。そうすることが、今の私の望み……」
「……!」
正しいとか、間違ってるとか――これは、そんな理屈ではなかった。けれど、偽りではないのだと、そう確信している――私。
そうすることで、私は――『途中』からの、その先で。
彼の書いた景色を得ることが、できるの、だから……。