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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》

「ああ――そうだ」


 その意図は掴めずに、いて……。それでも、先生は全てを語るのだと――その部分を疑う余地は、なかった。

 そうして、ともかく――


「俺が教師になり、三年目のこと。この城平高校に、藍山楓が入学したのは、五年前になる――――」


 北村先生は、ついにそれを語り初め――。

 すると――


「――?」


 その刹那のこと、だった。


 その声が、私の脳裏へと――響いて、きて、いる。



『ウフフ――栞。見違えるほど、綺麗になったのね』



 ね、姉さん――――!?



 在りし日の楓姉さんのが、蘇り語りかけるような――そんな、感覚。


 それは、錯覚――或いは、長く病んだ私の心が生み出した、妄想の類――だったの、かもしれない。


 しかし確実に、それは先生の言葉とリンクする、と――


 その想いを私に――伝えようとして、いるのだと――


 今、私は――私だけは、その声を信じると、必死にこの耳と心を澄ますのだった。
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