この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
「ああ――そうだ」
その意図は掴めずに、いて……。それでも、先生は全てを語るのだと――その部分を疑う余地は、なかった。
そうして、ともかく――
「俺が教師になり、三年目のこと。この城平高校に、藍山楓が入学したのは、五年前になる――――」
北村先生は、ついにそれを語り初め――。
すると――
「――?」
その刹那のこと、だった。
その声が、私の脳裏へと――響いて、きて、いる。
『ウフフ――栞。見違えるほど、綺麗になったのね』
ね、姉さん――――!?
在りし日の楓姉さんのが、蘇り語りかけるような――そんな、感覚。
それは、錯覚――或いは、長く病んだ私の心が生み出した、妄想の類――だったの、かもしれない。
しかし確実に、それは先生の言葉とリンクする、と――
その想いを私に――伝えようとして、いるのだと――
今、私は――私だけは、その声を信じると、必死にこの耳と心を澄ますのだった。