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第16章 しんクロ 《藍山　楓》

　それを前置きのようにして、北村先生は更に、こう続けている。

「俺はできるだけ、彼女のことをフラットに話すつもりだ。俺に都合よく、話すようなことはしない。それは、約束しよう。だが、残念ながら……それを証明できる者は、何処にもいない。お前の姉さんは、この世を去ってしまった。それ故に俺が、彼女の想いまでを語る術はない。だから、藍山――」

「……？」

　この空間の空気は――平静のようであり、ざわめいたようでもある。

　複雑な感情を与え合う如く、私は先生と視線を繋げていた。

「話を聞いて、その後は……お前に判断して欲しい、と思う。妹であるお前の方が、彼女の気持ちに迫ることができる筈だ。そして――」

「そし……て？」

　その時、先生の瞳に浮かんだものは、なんだったのか？


「その上で、もし俺を憎いと感じるのなら――俺の罪を、お前が決めてくれ」


「！　――――罪、を？」