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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
この期に及び、そんな風に言われ、私は一体――?
「……」
机に着いた両手をギュッと握り締めと、掌の中にじわっと汗が滲んだ。室内の空気が薄くなっているかのように、私は呼吸をハアハアと荒くしてる。
目の前の大人――先生のことを、勝手なのだと感じた。でもそれは、今――私が苦しいからに過ぎない。
どうして、私を困らせるのか――と思うのなら、そんな私だって、十分に勝手。だって、そこに楓姉さんの想いはないのだから……。
何が正しいのかなんて、誰にだって解らない。だったら、考えるだけ無駄なのか。
ならば、いっそ……この行き場のない善からぬ気持ちを礫として、先生にぶつけてしまえば、それで……。
私は心に闇を宿しかけて、やがてポツリと言った。
「私が、決めて――いいの、ですね?」
「ああ……構わない」
先生は飽くまでも、冷静である、から。そう感じるほどに、私を尚、逆上させるのだ。
「それならば、私は――思う」
「……」
私は蔑むような瞳で、それを先生に告げようとする。
「貴方が、楓姉さんを――」
――死なせた。
と、それは憎しみのままに……。
けれど――その刹那。
『栞――待って』
――――!?
私は再度、その声を耳にした。