この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
世の中には、あまりに情報というものが、溢れすぎてしまうのかもしれない。それは、田舎の高校の一つのクラスにあっても、そうなのだろう。
多感な時期を迎えた彼らは、それに振り回されてしまうから、時に周囲を見渡して自分の位置を確認してしまうのも無理からぬことだった。
だけど、何が確かなものなのか、なんて。結局は自分自身で探し当てるしか、他に方法はないのかもしれない。少なくとも、誰かにそれを決めてもらうことはできないのだ。
そんなことに、彼女も何となくであっても、気がつきつつあるから……。
あの日のロングHRで、いろんな感情たちを彼女も目の当たりにしている。その全部が噛み砕けるものではなくても、彼女も彼女なりに何かを感じたのは間違いなかった。
だから、それから暫く経った、ある日の学校の帰りの校門で――。
「裕樹――」
山村佳奈は、ふと澤田裕樹を呼び止めている。