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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
「か、佳奈……」
自分を待っていたその姿を見て、裕樹は素直に驚きを表す。
高校生となり、背伸びしようとした。そうすることで、今まで見えなかった、景色が見える気がした。彼は何時しかそんな自分自身に、違和感を覚えるようになった。それが表層を飾っているだけと感じ、置き去りにした過去の自分を否定しているようでもあり……。
それ故か、得たものと失ったものとの間で、揺れていたのかもしれない。
しかし、どんな形にせよ。変わろうと努めることは、決して無意味なことではなかろう。彼はそう信じたから、その時に背中を押してくれた――彼女を好きになっている。例えそれが、とても些細なことであっても……。
佳奈も、裕樹も――それぞれ、に。あまり人には話し難い、そんな場面だって経験したりもしていた。そんな時には必ず、後悔は付き纏うものだろう。けれど、それも一つの経験として成長し、その先に進む若さを彼らだって持っている筈だ。
だから、この時――佳奈は裕樹を待っている。
『俺の好きは――俺の中にしかないから――それを、佳奈に――知ってほしかったんだ!』
『ゴメン……私、やっぱり……わかんないから!』
それは、何時か応えられなかった、その気持ちに――応えようとして?
だが、佳奈自身は未だ、その表情に迷いを滲ませるかのように……。
「とりあえず……歩こっか」
「ああ……うん」
学校を出ると、二人は肩を並べて歩き始めて行く――。