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第17章 エぴローぐ

　それは復学した彼が、久々に学校を訪れた――調度、その日のこと。


「短い間となりましたが、産休を取られていた内田先生の復帰に伴い、私は今週を以てこの城平高校を去ることになりました」


「――！」


　俄かにざわめく教室で、去河要二はその突然の報せを耳にしていた。


「不慣れから皆さんに迷惑をかけることも、多々あったかと思います。ですが、この学校で教壇に立てたことは、私にとってとても貴重な経験となりました。新たな赴任先については未定となりますので、当面は地元へと戻ることになります。ですが、これから先も教師を続けられるように努めていこうと――そう、考えています」


　佐倉瑞穂先生は、毅然と教壇に佇み、淡々と話している。その姿は、学校に赴任した当初とは見違えるように、堂々としていた。

　そして、魅力なその若い女性教諭は――


「皆さんが充実した高校生活を送れるよう、期待させてもらいますね。では――今まで本当に、ありがとうございました」


　そう締めくくると、最後に淀みのない晴れやかな笑顔を見せた。


「……」


　それを目の当たりにした要二は愕然として、机の上の手をグッと握りしめる……。