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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
その次の日、朝。教室前の廊下――。
「……」
三生は扉を前にして、暫し佇んでいた。
始業前の教室から聴こえる、クラスメイトたちの、声。華やいだその音が、彼の頭の中にキシキシとしたプレッシャーとなり――重く、苛む。
僕がどうして休んでたのか、きっと、皆は知ってるんだよね……?
そう、自問すると、同時。扉を開けた瞬間の、彼らの腫れ物に触るような反応を、ついイメージし、ゾクリとして――身震いした。
すると、すぐに――
うんん、僕のことなんて、気にしてないさ……。
何時かしたようなそんな言い訳をして、俯いて顔を隠そうとしてる。
けれど――
いや――そうじゃない。それだと、ダメ――なんだ!
三生は、キッとした眼差しを携え――そう、思い直した。
仲間たちの手を借りる、そんな方法もあった。でも、其処に頼らずに三生は、とにかく此処まで一人で辿り着いている。
ならば――あと、たったの一歩、だけ。
「……」
三生は徐に扉を手をかけると、意識的にを音を立て――それをガラッと、開く。
「――!?」
一斉に集まる――その視線たち。
それを眺めるように見返して、その他愛もない一言に、三生は途方もないほどの勇気を込めた。
「オ――オハヨウ」
シーンと鎮まった――教室に。
彼がその一言に込めた、勇気をの量を知る者は――恐らく、いない。
それでも――
「よう――喜嶋。もう、いいのか?」
「おはよう、喜嶋クン。なんだ、元気そうじゃん」
当然ながら、須らくそうかと言うのなら――それは、違う。
だか、確実に――初めて知る幾つかの笑顔たちが――三生を迎えていた。