この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
喜嶋三生は、何時しか自分を卑下して生きるのが癖になっていた。それは、哀しい悪癖と言えよう。
どうせ、自分なんて――と、そんな風に自虐的なセリフを口にできる人は、彼からしてみればかなりましだとさえ思えていた。真に自信が無い訳ではないから、他人の関心を引こうともできる筈だ、と。
三生はそうすることもできずに、自分が他人の目に触れることさえも、恐れてきたのだった。
礼華との一件の始まりは、互いの事情が齎した正にアクシデントと言える。その衝撃が強烈過ぎた故に、その時に生じた想いは暴走し――やがて、滑落へ。
だが一方で――人を好きになったとした実感が、彼を高揚させたのは紛れもない事実である。そして、それを得た時に、三生は過去のそれとは違う、自分自身を見つけていた。
だから――
「また、いつか……今度は、もっと……」
彼は、そっと呟く。その実感を大切に、その胸の中へと仕舞って――。
控えめな性格は、彼の美点でもある。自分ではそう思えなくとも、そう気づいてくれる人たちはいる。自分は恵まれないのだと思うから、また人の傷も知ることができた。
でも、癒し方の知らない傷を隠していても、やはり報われることは少ないから……。
喜嶋三生は少しだけ、強くならなければならないのだと――思っていた。
どうせ、自分なんて――と、そんな風に自虐的なセリフを口にできる人は、彼からしてみればかなりましだとさえ思えていた。真に自信が無い訳ではないから、他人の関心を引こうともできる筈だ、と。
三生はそうすることもできずに、自分が他人の目に触れることさえも、恐れてきたのだった。
礼華との一件の始まりは、互いの事情が齎した正にアクシデントと言える。その衝撃が強烈過ぎた故に、その時に生じた想いは暴走し――やがて、滑落へ。
だが一方で――人を好きになったとした実感が、彼を高揚させたのは紛れもない事実である。そして、それを得た時に、三生は過去のそれとは違う、自分自身を見つけていた。
だから――
「また、いつか……今度は、もっと……」
彼は、そっと呟く。その実感を大切に、その胸の中へと仕舞って――。
控えめな性格は、彼の美点でもある。自分ではそう思えなくとも、そう気づいてくれる人たちはいる。自分は恵まれないのだと思うから、また人の傷も知ることができた。
でも、癒し方の知らない傷を隠していても、やはり報われることは少ないから……。
喜嶋三生は少しだけ、強くならなければならないのだと――思っていた。