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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
喫茶店を出た、礼華は――しかし。
「……」
一度、その足を止めると、其処に戻ろうかと――迷う。
自分を闇に貶めた張本人でありながら、今。其処から解き放とうとする、白岩。
もっと言葉を交わしたいと思ったのは、謎であるその真意を、確かめたかったからであろうか……。
「でも……それは、違う。たぶん……」
しかし、礼華は囁き――幾度となく、首を左右に振った。
そして、再びその歩を進めと――やがて、その髪を靡かせ、走り始める。
もう、振り返らない。そんな心に、殉ずるようにして……。
そう――確かに、残酷な事情はあった。
それでも――それを、誰かのせいになんて、しない。
だから、また――己を解き放つのも、自分自身であるのだと、そう信じるから。
迷わずに自分の足で走ると、頬を撫ぜつける――風。
今、礼華はそれを――少しだけ心地よいのだと、感じる。