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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
彼がそっと心に抱えていた悩みは、決して小さなものではない。
波風を立てず穏やかに――本来、そうした日々を過ごしたい少年。そんな彼にしてみれば、誰かと違う自分は覆い隠して、そのままにしておきたかった。
それ故、何処かに行きたいと願った気持ちに、後ろ向きな想いがあったことも否定はしきれないのだろう。
あの教室は確かに、望んで辿り着いた場所ではなかった。
それでも今と、この先の僅かな時間を。その中で過ごすことは、悪くもないのだ、と。その中にもう一度、身を置いて自分を見つめ直してみようか……。
宗助はようやく、そう考えるに至っている。
互いの想いを、すれ違わせた――後。そうして得ていたのは――二人の友人。
彼らに手を引かれるようにして、瀬山宗助は立ち止まることを――とりあえず、止めた。
「今は――戻ろう」
そんな呟きと共に、歩き始め。
瀬山宗助は、何時もの教室へと向かって行く――。