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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
その時の宗助は、とても移ろい易く、酷く不安定だったのだろう……。
「さて、どうしたものか……?」
晴れない顔で、ぼそっと呟く。
そして、次の一歩をどのよう踏み出すのか、それだけを考えている。
とにかく自分は、何処かへ行ってしまいたいのだろう。そんな強い衝動は、否応なく訪れていた。
瀬山宗助――という存在の可能性を見つめ、自分が何者なのかを知りたいと思う。
確かに幾つかのしがらみは、頭を過り。明確に何をどう、という訳でもない。それでも自由であるというその困難の中に身を置くことが、今の彼には魅力的なことなのだと、そう感じられていた。
「――!」
ふと音がして、宗助はズボンのポケットを探る。
『何を考えているのか、わかる気がするの。もう、誰も貴方を縛ったりしない。でもね、宗助のこれからを、私にも見せてよ』
「……」
赤緒礼華から――そのメッセージを、宗助はじっと噛み締めるように見つめ。
そうした時、続けて携帯は着信を告げている。
『また、サボりか? グズグズ考えてないで、さっさと学校へ来い!』
それは、西慶介から――。
「まったく……お節介な奴らだ」
その言葉とは裏腹に、ふっと微笑み。その笑顔は、まるでこの日の天気のように、憂いなく爽やかなものとなった。