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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
何となく眠れずに、過ごした夜。だから開けた朝は、決して心地よいものでもなく。
「……」
藍山栞――は、寝不足の晴れやかではないその顔を、じっと洗面台の鏡へと映していた。そうしてから、ふと考える。
それまで自分は、鏡に映るその顔をどう見ていたのだろうか、と。しかし――否、恐らく別に気にした覚えもない。特に姉を失ってからは、そうだったように思う。
ある意味にあって、栞はその望みを叶え。それは、姉の想いに触れることが、できているのだから……。
けれど、だからこそ、それ故に。今の栞は、自分を脆いのだと感じている。酷く心許ないから、支えを欲していたのだった。
「姉さん――私、どんな顔――してる?」
それは、返らない問いかけ。そうと知りながら、ついそんな風に、しながら……。
栞は、微かな胸の高鳴りを頼りに、この朝を迎えていた。
幾つかのバラバラな時と場面を、連ねた後に――。
最後に語り忘れた、日曜日の話をしよう――か。