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クラス ×イト
第18章 おシまい

 様々なシーンを経て、暫く――。

 【2―C】の教室には、変わらぬ喧騒が戻っている。それは激しく揺れた彼らの想いなど、まるで無意味であったかのようだ。

 でも、それも――当然であろう。この物語で語られなかった者たちを含め、誰かが誰かの為に、この教室へと集っている訳ではないのだ。

 それだから一見、また平凡に見える日々は続き。その中でこそ、彼らの心はまた、揺れ動き続けるのだろう。

 そんな――何時も通りの、昼休み。まず、耳についたのは、こんな言葉。


「オイ――西。さっきの、HR。どうして俺を委員長になんて、推薦してんだよ」

 それは、佐川琢己が口にした文句。

 そうして詰め寄られた西慶介は、やや苦笑を浮かべると琢己へと応じている。

「なんだ、問題でもあるのか?」

「当たり前だろ。来年は受験なんだぞ。なんで突然、俺なんだよ。嫌がらせのつもりか? いつも通り、お前がやればいいんだよっ!」

 矢継ぎ早に苦言を吐き出す琢己に対し、慶介の方は飽くまで冷静な対応に終始していた。

「忙しくなるのは、皆同じ。それに、お前を推薦したのは、明確な理由があってのことだ」

「理由……なんだよ、それ?」

「佐川――お前は、クラスの連中の噂話に敏感らしいからな。つまり裏を返せば、それだけ皆のことを気にしてる、ということになる。その視野の広さと情報収集能力には、俺も一目置いているんだ。どうだ――適任だと思うが?」

 幾分しらじらしく言って、元委員長の西慶介がポンと肩を叩くと――

「チッ、イヤミな野郎だ」

 新委員長となった佐川琢己は、心底から面倒そうに、その顔をしかめていた。
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