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クラス ×イト
第18章 おシまい
佐川琢己を体よく追い払った西慶介に、今度はこんな声がかかる。
「そういえば、西くん。何時かの話、お願いしたいのだけど」
その声に振り向いた慶介は、とても意外そうな顔。話しかけてきたのが、窓際の席の藍山栞だったからだ。
「なんだ、藍山か。何時かの話とは?」
「確か――勉強を教えてくれると、そう言ってくれてた」
そう言って微笑する栞に対し、慶介は些か面食らった様子である。
「一体、どういう風の吹き回しだよ。前はあんなに誘っても、相手にしなかったクセに」
「ちょっと、数学が苦手なの。私と――あと、彼も」
「彼……?」
「私と乾くん――まとめて面倒みてくれると、とても助かるのだけど」
そう言われた慶介は、半ば呆れ顔だ。
「どうしてこの俺が、そんな慈善事業を? 流石に、そこまでお人好しじゃないぞ」
「だって、西くんは私の――友達なのでしょ?」
臆面もなく、そう言った栞。
その顔を、慶介はギョッとしたように見つめた。
「はあ? なんなんだ、急に……」
「友達だと、いけない?」
そう問うて栞は、屈託のない笑顔となり。
唖然としながらも、それに釣られたように期せずして慶介も笑う。
「ハハハ、友達……か。まあ、いいのかもな……それも」
そっと、そう呟いた慶介。その視線は自然と、一人の友人へと注がれていた。