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真実アイロニー【完結】
第8章 独白
「
死のうと思ったの。
あの日、私は海に沈んで彼と一緒に死にたかった。
けど、私だけが生き残ったの。
離れない様にと、ロープで縛り付けた腕の先はだらんとしてて、重くて。
海水を飲み込んでむせ返る私の横で、彼だけが幸せそうに微笑んでいた。
ああ。私、彼を殺してしまったんだって漠然と思った。
この赤いピアスは懺悔の証明。
一緒に死ねなくて、ごめんねって、ね。
お揃いだって貰ったこのピアスだけは、どうしても外せなかった。
意識を失って、病院のベッドで目を覚ました時。
一滴だけ涙が伝ったの。
泣く資格なんてないって思ったから、流せたのは一滴だけ。
それからは散々彼の母親に罵倒された。
あんたが死ねばよかったのに、
そう、何度も何度も言われた。
本当だなって思った。
私が死ねばよかったのにって。