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真実アイロニー【完結】
第8章 独白
なのに、私の母親は何度も何度も頭を下げてた。
ストレスで見る見るうちに痩せ細ってさ、肺炎こじらせてコロッと死んじゃった。
葬式でね、泣けなかった。
泣く力なんてなかった。
私の家族はこれで本当にいなくなったから。
私は母親の姉に引き取られたけど、無理心中しようとした私の事なんて腫れ物扱いでさ。
私が部屋に籠れば、普通に笑い声がリビングから漏れてきて。
私がただの諸悪の根源なんだって思ったら、笑みさえ浮かんで来たよ。
それにさ、唯一の私の居場所を、自ら手放してしまって、どうやって生きて行けばいいのかわからなくなった。
そこから、切る様になった。
痛みなんて感じなかったよ。
ぷっくりと血が浮かんで来て、それを見てほら、見て。私生きてるよって思った。
私はちゃんと生きてたんだって。
流れる血は温かいんだ。
私は人間なんだって。
捨ててもよかった、こんな命なんて。
だって、私は彼に生かされただけだ。