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真実アイロニー【完結】
第16章 琥珀。
琥珀に会いたい。
どうしたら琥珀に会える?
いつの間にか、数ヶ月経ったよ。
あっという間だった。
毎日琥珀を想い出して、何度も何度も後悔するんだ。
そして、何度も自分を責めるんだ。
どうして、私は死ねなかったのって。
ああ、そうか。
私が死ねばいいのか。
目の前にあったのは、カミソリだった。
それで躊躇なく手首を切った。
血がたくさん浮かんで、滲んで来て。
……何で、生きてるんだって思った。
何度も何度も手首に線を付けては、同じ事を思った。
死にたくて死にたくて、だけど死ねなくて。
右耳の赤いピアスを触っては、奥歯を噛み締めた。
涙なんて流さない。
私は笑わない。
泣かない。
何かを見て、感動する事もしない。
私はもう、人形でいいよ。
感情のない人形。
琥珀だけを想う、人形。
気付けば私は、感情を一切表に出さなくなった。
そして、いつしか癖の様に桜を見上げる様になった。
琥珀がしていた様に。