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真実アイロニー【完結】
第2章 運命だとしても
「だから、彼女の事で何かを生徒に言われても聞かれても、何も答えないように。
面白半分の生徒にはその都度言ってるんですが、まあ、中々…」
教頭先生が、茶系のペイズリー柄がプリントされたハンカチで額の汗を拭う。
小早川の話はここでは余程、タブーなのかもしれないな。
さっきの一件を目の当たりにしてる先生も多いだろう。
宇津木先生は学年指導だし、検査にはいたはずだ。
後で少し聞いてみるか。
素直に答えてくれるといいけど。
「あ、教頭先生」
「ええ、早乙女先生、何ですか」
「その時にいた教師ってのは…今は」
「……」
教頭先生は再度、ハンカチで汗を拭った。
それから、静かに口を開く。
「……辞職しましたよ」
「えっ」
辞職?
って事は…教師を辞めてしまったのか?
「その後、どうしたかはわかりませんが」
俺と中島先生はもう口を開く事はなかった。
教頭先生も、その一件について触れるつもりはないらしく、早々に話を切り上げる。