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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。

「おはようございまーす」

「ああ、おはよう」

「あ、早乙女先生ッ!」



朝の登校時間。
校門を抜けた俺の横に走ってやって来たのは、昨日話しかけて来た一人、ゆるゆるパーマの小島さんだ。

今日も彼女の肩では緩いパーマがかかった髪の毛が揺れていた。
ふわふわとして、女の子らしい。


「朝から会えるとか、運命みたくないですかーっ?」

「あはは、そうだね。小島さん」



笑いながら返すと、彼女はどこか不服そうな顔を見せる。
少しだけ口を尖らせて、俺を上目遣いで見つめた。


「もう、子供だと思って適当に返してるでしょ。先生」

「そんな事ないよ」

「絶対うっそおーーっ」

「あはは、困ったな。どうしたら機嫌直してくれる?」

「うーん、何だろう」


小島さんは腕を組んで考えている。
それに、ふふっと笑みが零れた。


そんな姿が子供っぽいんだけど、なんて口が裂けても言えないな。これは。


「んじゃ、後で聞くから考えておく様に」


時間がかかりそうだと思ったから、一旦考えさせるのを中止させて職員玄関へと向かう。

はーいと元気な返事をしてから、いつまでも手を振ってる彼女はやっぱり幼いと思った。


職員玄関から入り、靴を履き替え様とした時だ。



目の前に立つ女子生徒、その後ろ姿に息を呑んだ。

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