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第3章 黒く塗り潰してしまったのは。

天使の輪っかが見える、黒髪ストレート。
肩につくか、つかないかぐらいで切り揃えられている。

制服の上からでも、分かるぐらい彼女の線は細くて。


スカートの裾から覗く足は、雪の様に白く。
蹴ったら折れてしまいそうなほどに細い。


その、彼女の足先には学校のスリッパがあった。



「……えっと、おはよう」



動揺しながら、一応声をかける。
俺の声に気付いた彼女が、くるっとこっちを振り向いた。


一瞬、視線が絡みドキッと心臓が跳ねる。


陶器の様なすべすべの肌。
ガラス玉の様な、茶色く透き通る瞳。

薄く色付いた唇は、ほんのり桜色だ。


目を見張るほどの美女ではない。
いうなら、さっきの小島さんの方がとっても可愛い顔をしている。

彼女もそれをきっとわかってると思うし、前述した様に俺はそういった自分の魅力や、主張を全面に押し出す子には好感を持てた。


だけど、目の前の彼女はそうじゃない。

自分の魅力になんか、きっと気付いていないだろう。
なのに、強く惹き付けられてしまう。



「……どちら様でしょうか？」