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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
「それじゃ、失礼しまっす!」
また元気よく声をかけて、職員室を後にした。
ええっと、忘れ物ないよな。
出席簿、日誌。一限目数学だから教科書やらなんやら。
よし、大丈夫だ。
2-Eのクラスに到着すると、ちょうどチャイムが校内に鳴り響く。
ガヤガヤする教室の扉を開けて、入って行った。
「皆、おはよー。席に着けー」
おはようと返したり、慌てて席に着くヤツもいたり。
小島さんは俺を見ると、ウインクをしながらニッコリ微笑む。
……マセガキめ。
苦笑しながら、俺も微笑み返した。
「よーし、出席とります」
相田ー、井上ー、と出席簿の名前を指でなぞりながら続けて言う。
ハイと返事が返って来るのを聞きながら。
それから、ぴたりと指が止まったのは出席番号5番に来た時だ。
「……小早川」
顔を上げて、その人物を探す。
窓際にある昨日は空席だった場所に、座っているさっき見た彼女。
「…ハイ」
小早川さんはこっちを一切見ずに返事をした。
それから、次の名前を呼びながらも俺の頭の中は小早川さんの事でいっぱいだった。