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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
HRが終了し、休み時間になるが一限目が数学なので俺は教室に残って待つ。
パイプイスに座ったまま彼女をそっと見た。
さっきと、体勢が変わってない。
ずっと頬杖をつき、外を見つめている。
誰も彼女の元へ行こうとしない。
彼女も誰とも話そうとしない。
という事は、いつもこうなのかもしれないな。
小早川さんに話しかける時間あるかな。
それか、先生の特権を利用して何か頼むか。
ううむ、と悩んでいると明るい声が響く。
「早乙女せんせっ!!」
「おお、小島さんと時任さん」
ニッコニコしてる小島さんとは対照的な時任さんが目の前にいる。
ぶすっとした顔で、時任さんは小島さんに腕を引かれていた。
察するに、小島さんに無理矢理連れて来られたんだな。
「私、トイレ」
「うっそ、先に言ってよ!奏子。じゃあ行ってらっしゃい!」
一緒に行かないのか。
時任さんは俺を一瞥すると、無言で踵を返して教室から出て行く。
そんな時任さんに目もくれず、小島さんは俺の方へと身を乗り出した。