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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
「ねえねえ、早乙女先生は今いくつですかー?」
「いくつに見える?」
「うーん、29歳!」
「ぶっぶー」
「ええ?じゃあ、いくつ?もっと上?」
「26歳」
「えええ。そんな若かったの!?」
小島さんは大袈裟に驚いてみせると、コロコロと笑う。
その小島さんを見た時、視線の奥に小早川さんが映った。
周りになど一切興味を示さず、ただボーっと外を眺めていた。
光がふんわりと差し込む彼女の髪の毛がキラキラしていて、とても綺麗だ。
その俺の視界に無理矢理入り込むのは小島さん。
小早川さんを隠す様に顔を動かすと、頬を膨らませて言った。
「先生、私と話してるんだからこっち見てよお」
「ああ、ごめんごめん」
「彼女いても私はいいですからね」
「俺がダメです」
「何?早乙女先生って彼女いるの?」
そうやって割って入って来たのは、二つ結びの工藤さんだ。
工藤さんの登場にあからさまに小島さんの顔が歪む。