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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。
翌日。
昨日よりも早く登校した俺は、職員室に向かう。
中にいた先生方に挨拶をしてから、少しだけ学校を回っていた。
裏門の脇に生えてる桜並木は見事ですよ、と教頭先生から聞いてたから、少しだけそれを見る為に。
外に出ると、裏門へと向かう。
生徒達はまだあまり登校していなくて、人気のないその裏門へ向かう道中見かけたのは数人ばかり。
だから、その桜並木の下に立ってる君を見付けた時は本当に驚いた。
少しだけ風が吹き、桜の花弁がひらひらと舞い散る中。
君は立っていた。
淡い桜色と、儚く映る彼女の立ち姿がとても神秘的に見えて。
まるで時が止まってしまったかの様で。
言葉を失っていた。