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真実アイロニー【完結】
第3章 黒く塗り潰してしまったのは。

「え?」

「桜はキライ」

「……どうして?」

「……」


再び疑問をぶつけるが、小早川さんが答えてくれる事はなかった。



「そっか、キライか。そういう人がいてもいいのかもな。
あ、実は俺、タンポポが苦手なんだ。
昔花束にして持ってたら、ハチがやって来てそれで刺されたから。
小さなトラウマ。これ内緒な」

「……」

「綿毛も小さい頃聞いた話が恐ろしくて、嘘だとわかった今でも苦手意識がある」

「……」

「ほら、耳の中に入るとそこで根を張って聞こえなくなるとか聞いた事ない?
あれ、本気で信じてたからさ、俺」


ペラペラと昔話をする俺を、相槌も嫌な顔も、だけど笑ったりもせずに小早川さんは見ていた。



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