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真実アイロニー【完結】
第4章 見つめるその先に。
「あの、どういう事でしょうか」
とにかく、きちんと事情を聞かないと。
その時、ぺらっと一枚の紙が手渡された。
何も描かれていない、一枚の画用紙。
「……えと、これは」
手に取りながら、俺は首を傾げて久嶋先生に真意を問う様に顔を上げる。
「小早川さんのです」
「え」
「今、授業でクラスメイトの顔を二人ペアになって模写してます。
だけど、誰も小早川さんとペアになりたがらなくて…。
まあ、奇数って事もあって僕と組んだんですけどね。
真っ白です。出席はしてるのに」
「……そうですか」
「このままじゃ、単位なんてあげられません。
どうか、先生から言ってくれませんか」
「わかりました」
少しトゲのある言い方だったけど、うちのクラスの生徒が迷惑をかけてるんだと思ったら何も言い返せない。