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真実アイロニー【完結】
第5章 薄く色付いて行く。
「先生って可愛いね」
「はっ!?いや、何をいきなり」
おちょくる様に言われた言葉に、思いっきり動揺する俺。
大人をからかって!
「好きだから、だよ」
「……好きだから?」
だから、死ね、って言うわけ?
それは理解に苦しむな。
好きなら、尚更そんな事言っちゃいけないんだろうか。
「死んでしまってから、後悔なんてしても遅いのに」
「……」
「人って簡単にいなくなるんだよ。目の前から」
「……」
「そんな痛みを知らないんだろうね。この作者も、この男の子も。
だけど、それって幸せな事なのかな」
そう言ってから、自嘲すると彼女は携帯の画面から空へと視線を移した。
小早川さんの瞳に映る、オレンジに染まった空と雲を見つめる。