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真実アイロニー【完結】
第5章 薄く色付いて行く。
「早乙女先生ー」
別の日。
そう、声をかけて来たのは今日もゆるふわパーマの髪の毛を揺らす、小島さんだ。
「んー?どうしたの、小島さん」
「ねえねえ、今日数学教えてくれませんかー?」
「あ、解からないとこあるって言ってたね。いいよ。
じゃあ、放課後教室でやろうか」
「楽しみにしてまーす」
笑顔でそう言うと、小島さんはピースをして俺の横をすり抜けて行った。
小島さんはいつもニコニコして、可愛らしいなって思う。
高校生ってこうだよなあって考えてしまうよ。
だから、小早川さんみたく、静かな雰囲気を持ち合わせてる子を見るとどうしても構いたくなってしまうんだよな。
小島さんとは約束を取り付けた次の日、数学を教えてあげた。
想像以上に頑張る小島さんに、微笑んだのを覚えてる。
頑張る生徒には教えてあげたくなるのが教師だ。
小島さんがいなくなった後、職員室に向かっていると遠くに小早川さんを見付けた。