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真実アイロニー【完結】
第6章 目が離せない。
その翌日から小早川の態度は、赴任当初に戻ってしまっていた。
いや、それ以上かもしれない。
俺がおはようって言っても、こっちを見る事もない。
話しかけても全て無視して、さっさとどっかへ行ってしまった。
撃沈する日々が続く。
余程触れられたくない過去だったんだ。
はあっと溜め息をつきながら肩を落とすと、俺は職員室の扉を開いた。
「あ、早乙女先生」
そう声をかけて来たのは、宇津木先生だ。
「宇津木先生、お疲れ様です」
「……何かお疲れのようね」
「ええ、まあ」
「一筋縄では行かないから仕方ないわ。でも、負けちゃダメよ」
そう言うと、宇津木先生はニッコリと微笑む。
どうして俺が気落ちしてるか、宇津木先生は気付いていたらしい。
……ここにもちゃんと小早川を気にかけてる先生がいるんだけどな。
ただ、それは行動に移さないと相手には伝わらない。
「宇津木先生」
感謝をしようと振り向いた時、既に宇津木先生は生徒に話しかけられていた。
あ、彼は確か1-Cの結城君だな。
学級委員だからよく職員室には訪れる。
それに、見た目がカッコいいのもあって名前と顔はすぐに覚えてしまっていた。