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真実アイロニー【完結】
第6章 目が離せない。

放課後になり、校舎を歩いていると窓から人が見えた。
誰だろう。こっちってプール側だし、用事のある人なんていなさそうだけど。
窓に近付き、見下ろしてみる。
「えっ」
思わず、そう口から出てしまった。
だって、そこには小早川がいたから。
とっくに帰宅したもんだと思ってたよ。
何をしてるんだろう。
……行くしかない。
急いで階段を駆け降りると、靴に履き替えて外に出た。
職員玄関の裏側に周り、小早川の姿を探す。
プールが見えて、その陰から少しだけ彼女の姿が現れたから俺はホッとした。
いなくなってなかった。
小早川は既に散ってしまった桜の木を見上げて、その幹に手を合わせていた。
俺には一切、気付いてない様だった。
「小早川」
そう、声をかける。
彼女の肩がぴくっと動いた。
だけど、振り向く事はない。
 

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