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真実アイロニー【完結】
第6章 目が離せない。

殺してしまった、それにどんな意図があるのかはわからないけど。
でも、その罪に今も彼女は苛まれていて、きっとそれを今でも悔いている。



「先生ってキラキラしてる」


頬に手をあてたまま。
小早川がぽつりと言った。



「まるで、真っ白なキャンバスみたい。
どんな色でも鮮やかに魅せるの」

「……」

「先生、絵の具ってね。
凄いたくさんの色があるよね」


そう言うと、彼女が手を伸ばしたのは桜の幹だった。
静かに触れて、空を見上げた。


「けどね、そんな綺麗で鮮やかな色も黒が入ると、全てが塗り潰されちゃうの。
キラキラしてた、私の色達もたった一滴の黒の所為でさ」


クスクスと笑うと、彼女は少しだけ顔に笑みを乗せた。
そして、ちらっと俺を見る。



「その、黒は私なんだ」



さあっと風が吹く。
そして、彼女の黒髪を撫でて行く。


顔にかかった黒髪を手で整えながら、彼女はまた空を見上げた。
どんよりとした厚い雲で覆われている空。

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