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君へ贈る愛の唄
第8章 一歩前進

「あの、」

そしてさやかは顔をあげると、オレの目をじっと見て言った。

「ん、なに?」


「一条さんは今付き合ってる人、いますか?」


「ぶっ」

オレは思わず飲み物を吹き出しそうになった。

「…気になる?」

頷く彼女。

「いると言えばいるかな」

「やっぱり、いるんですね…」


その表情に確信したオレの胸が、チクリと痛む。

「ところでキミ、すごくモテるんだね。よく客から言い寄られてるでしょ」


「っ…知ってたんですか?」

「うん。あんまりしつこいヤツいたら教えてね?店、出入り禁止にさせるから」


「はい…」


オレは前からさやかの気持ちが、
なんとなくわかっていたんだ…。
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