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愛しては、ならない
第41章 更に抉られる、傷痕②
腫れ物に触るような扱いをする事は一切せず、花野は俺に次から次へと色んな仕事をさせた。
昼間、教室の生徒の家や花野の友人などから電話がしょっちゅう掛かってくるが、電話もよく取らされた。
取らされたと言うわけではないが、花野はだいたい生徒を教えている最中だったし、祖父は庭に出ていたりする事が多いから、必然的に俺が応対する事になるのだ。
菊野のところに居ると、彼女への思いと欲で一杯になってしまうのだが、彼女と離れてこうして忙しくしている時は、正直気が楽に思えた。
彼女への思いを自覚してから、気の休まる暇も身体が休まる暇もなかったのだな、と今更気付く。
恋する事によって生まれる嫉妬や猜疑心、焼けるような恋情に、晴らさずにはいられないムクムクと大きく膨らむ欲情に毎日振り回されていた事を思い知らされる。
彼女はどうしているのだろうか、と夜眠る前に頭を過るが、菊野の事を思うだけで喉の奥が締まり、頭が割れるように痛くなる。
身体が彼女の事を考えるのを拒否しているかのようだった。