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愛しては、ならない
第43章 こわれる
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三十分後、タクシーが病院の玄関前に付けられた。
震える足を無理矢理動かし降りようとする私を、森本が先に降りて私の方へ回り、手を引いてくれた。
「大丈夫?……僕も一緒に行きましょうか?」
「……ありがとう……大丈夫……父や母も来てくれてるし……祐樹も……
ここまで回ってくれてありがとう」
彼は、あっと眉をしかめた。
「そうか……祐樹、僕が行くとまずいな……
今度こそ殴り殺されるかも……」
「……じゃあ……」
「うん……またね……菊野さん」
彼はタクシーに乗り込み、窓越しに手を振った。
私は放心したように車が走り去る方向を見ていたが、後ろから聞き覚えのある声がしてビクリと全身が震えた。
「菊野――!」
振り返るや否や、真歩が抱き着いて来る。